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一人の市民としての立場よりロシアの混乱に思う

弁護士 岡本 浩

ここ10日余、ロシアにおけるワグネルという民間軍事組織の動向が国際ニュースの中心の一つとなっている。この騒動に関する過熱した報道ぶりを見ていて、政治に直接に関わっていない身であっても思うことが多々ある。

先ず、戦車等の重装備を備えた軍事組織が、正規の軍隊とは別に一国の中に存在している異様な状況をきちんと捉えねばならないと考える。このようなことは、内戦状態にあるシリヤやミャンマーのような国の場合はともかく、政権が一国を統治している状態の国においては、極めて異様なことである。民間軍事組織が公然と存在していたところに、ロシアの現状が、国家としては近代国家と言い難い、極めていびつな状況にあることを認識しなければならない。

2つ目は、プーチン政権が、このような存在を許してきた理由として、正規の政権としては出来ない汚れ仕事を、このような組織に担わせてきていたことである。つまり、さすがに国家としては手をつけられない悪事(-住民の虐待や非道な方法による殺害等-)を担う存在として、ワグネルを国家が容認してきたという事実に対し、批判の眼をもって見なければならないことである。また、国家というものが、時にはこのような悪事を企むものであることを、我々は知っておかねばならないことである。

3つ目は、そのような汚れ仕事を有償で引受ける闇の存在である以上、どんな形であれこのような組織に積極的な評価をしたり結末に同情したりするようなことがあってはならないことである。マスコミ報道の一部では、国際政治の世界で容認できない政治家となっているプーチンの支配に反旗を翻すかのような行動に至ったことを過大に評価し、ワグネルを評価したりその行動に期待するかの言説が見られた。あげくは、代表者であるプリゴジンの身の安否を気遣う発言をするような者さえ現れた。所詮は、受刑者を有償で集めたような闇の軍事組織であり、そのような組織の存在や率いる者の身の安全を懸念するなど、無用のことであるべきである。

そして、4つ目は、ワグネルのような存在を許し、それを利用してきたプーチン政権というものが、民主主義とは全く無縁の国家体制であり、世界の平和と安定のためには、国際世論とロシア国民自身の手により、一日も早く崩壊がもたらせられるべきものであることを再確認することである。

我々からすれば遠い存在であるロシアの混乱を、テレビや新聞を通して毎日のように見る中で、一人の市民として以上のようなことを思う次第である。そして何よりも、非道な日常破壊に苦しめられているウクライナの国民に、平和な日々が一日も早く訪れることを願うものである。