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パーティー券収入による政治家の「裏金」報道に思う

弁護士 岡本 浩

 政党への政治献金(パーティー券売上収入)が政治資金収支報告書に正確に記載されず、一部は国会議員個人の「裏金」とされていたと見られる疑惑が昨年末より報道されている。そして、今年に入り、国会議員の一人が逮捕されるという事態に至った。さらに、自民党の派閥である安倍派・二階派について、所属議員への事情聴取や任意の捜査が続けられているようである。

 犯罪の捜査・立件を担う検察においては、一般の刑事事件(窃盗や強盗、一般市民による詐欺や横領、交通事故案件等)を担当する部門とは別に、国会議員等の政治家がからむ事件や株価操作といった複雑な経済事犯の捜査・立件を担当する部門として、東京・大阪・名古屋の3地方検察庁に「特捜部」が置かれている。今回の政治献金に関する捜査は、東京地検特捜部により行われている。特捜部には、その任務の重要性・困難性からして、検察内で有能とされる検察官が配置され、事件の規模によっては、全国の各地検から応援の検察官が集められ捜査に当たるようである。このような特捜部の権限は大きく、たとえ大物政治家であっても捜査の手をゆるめることがないものと期待されている。特捜部の処理した事件の有名なところでは、元総理大臣・田中角栄のロッキード事件における逮捕が良く知られている。

 さて、このような特捜部による今回の捜査・立件であるが、伝えられてくる近々の報道によると、「安倍派幹部の立件は見送りか」の観測記事が出されている。今回のような大がかりな政治資金にからむ裏金問題は、個々の国会議員の判断・裁量でなし得ることでないことは明らかで、派閥の幹部の差配なしには出来るはずのないことである。したがって、この問題の根源にある派閥の中枢まで捜査・立件が及ぶべきものであり、政界の中では「小物」としか評しようのない議員のみの立件でもって幕を閉じ、派閥の中の「大物」を逃してしまうようなことがあってはならないと考える。そのようなことでは、対象は誰であっても「悪は見逃さず」という特捜の趣旨を全うすることとならず、特捜への国民の期待が裏切られることとなる。年始に発生した重大災害の報道に国民の関心が集中していることを奇貨とし、「大物」への見逃しがこっそりと遂行されてしまうようなことが起こらないよう、国民としては注視をしていきたいものである。