コラム
column
生活保護裁判、高裁判決
以前、私が弁護団の一員として活動している生活保護基準引下げ取消訴訟について、和歌山地方裁判所が基準引下げを違法とする判決を言い渡し、現在、大阪高等裁判所で審理中であるとの内容のコラムを書きました(第1信:令和5年4月、第2信:令和5年9月、第3信:令和7年7月、第4信:令和7年12月)。
大阪高等裁判所での争点は、以下の3点でした。
①生活保護基準引下げの違法性
②国家賠償法上の損害賠償請求の成否
③世帯主が亡くなった世帯の同一世帯員の訴訟承継の成否
先日(=令和8年4月21日)、大阪高等裁判所において、判決が言い渡されました。
①については、大阪高等裁判所は、生活保護基準引下げについて、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、違法であると判断しました。
②については、残念ながら、原告らの国家賠償法上の損害賠償請求は認められませんでした。
③については、大阪高等裁判所は、訴訟承継を認める判断をしました。
以下詳述します。生活保護受給中の3人家族で、一審の途中で世帯主(被保護者)が亡くなられた世帯がありました。弁護団としては、生活保護は世帯単位で行われることから、相続人たる同一世帯員の訴訟承継が認められるべきであると主張していました。ところが、一審の和歌山地方裁判所は、保護を受ける権利は一身専属の権利であり、被保護者の死亡によって当然に消滅し、相続の対象になり得ないことを理由に、世帯主以外の世帯員は訴えを承継しないと判断しました。原告側は、上記判断を不当・不服として、控訴していました。大阪高等裁判所は、生活保護は世帯単位で行われ、支給額の減額は世帯員全員に直接影響を与えるものであり、世帯主以外の世帯員も、生活扶助の減額処分によって自らの保護受給権を侵害されていることなどを理由に、訴訟承継を認めました。大阪高等裁判所の判断は、世帯主以外の世帯員の保護及び基準引下げの取り消しを求める権利を確保する観点から、妥当な判断であると考えますが、和歌山市は、これを不服として、最高裁判所に上告しています。
残念ながら、裁判は継続となりましたが、本件を提訴してから既に11年6カ月以上が経過しており、亡くなられる原告も増えてきていることから、一刻も早い解決を願っています。