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刑事事件における略式手続の実際

弁護士 浅野 喜彦

 犯罪の嫌疑を受け検察へ送致された被疑者にとって、最も厳しい処分は「起訴(公訴提起)」、反対に最も緩やかな処分は「不起訴」です。しかし、その中間に「略式手続」と呼ばれる制度があるのをご存じでしょうか。ときおりニュースにも出てくる言葉ではありますが、あまり詳しく知らない方が多いようですので、少し説明したいと思います。

 略式手続は、法廷での尋問、弁論などをおこなわず、裁判所が、検察官の提出した資料のみに基づいて罰金刑等(略式命令)を科す制度です。終結まで数か月かかる正式裁判と比べると、略式手続はたいてい一日で終了するので、裁判所にとっても被疑者にとっても負担の少ないシステムと言えます。そのため、被疑者の弁護人は、不起訴処分を得ることが難しいと判断した場合、略式手続に付されることを当面の目標として弁護活動をすることがあります。

 ただし、公開の法廷における審理を経ずに刑罰(罰金刑)を科されるということは、本来なら、憲法の原則に反する重大な人権問題です。そこで、略式手続が採用される場面はごく一部に限られています。すなわち、一定の軽微事件(交通事犯や万引きなどに適用されることが多いです)であることと、被疑者による同意のあることが条件とされており、科される罰金にも上限が設けられているのです。

 検察官が(被疑者の同意を得た上で)略式手続の申立てをすると、通常、裁判所はその日のうちに略式命令を発布し、勾留されていた被疑者は釈放されます。ただし、検察官としては、釈放された被疑者が罰金を納付せずに行方をくらますと困るので、多くの場合、弁護人を通じて被疑者の親族等に協力を求め、略式命令の発布とほぼ同時刻に検察庁へ罰金相当額を持参するよう要求します。実質的には、罰金の支払と引きかえに被疑者を釈放するようなイメージと理解してもよいでしょう。他方、親族等の協力が得られない被疑者の場合、検察官は略式手続の選択を躊躇するかもしれません。

 よく質問されることですが、略式手続は、法廷こそ開かれないものの、れっきとした有罪の裁判ですから、その人には前科が残ります。したがって、被疑事実に真実と異なる点がある場合は、略式手続に同意すべきではありません。また、略式命令が出てしまったあと「やはり納得がいかない」という場合は、14日以内であればあらためて正式裁判の請求をすることもできます。

 いずれにしても、ひとりで軽々に決めてしまうのは危険ですから、弁護人とよく相談したうえ慎重な判断をするようにしてください。