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再審法改正について

弁護士 岡 正人

令和7年度和歌山弁護士会の会長を務めております。前回のコラムでは、日弁連理事として、東京出張の様子をお伝えしました。今回は、弁護士会が取り組んでいる課題について、お伝えしたいと思います。 今年度の重点課題は、選択的夫婦別姓の実現と再審法の改正です。そのなかの、再審法改正についてお話しします。

 

再審法という名称の法律はなく、刑事訴訟法の第4編に再審に関する規定が19か条あるのみです。日本の刑事訴訟は三審制が取られており、基本的に地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所と進級していき、最高裁判所の判決で確定します。確定した判決は拘束力を持ち、不服申し立てはできなくなります。ただ、刑事訴訟で扱う刑事罰は、身体の自由や死刑制度のある現状では生命すら奪えるものですので、決して間違いがあってはなりません。そのため、万が一の間違いに備えて、「再審」という制度が設けられています。

この再審に関連して今年7月に大きな判決がありました。

福井女子中学生殺人事件とよばれる事件で、犯人とされて刑を受けた前川彰司さんに対して、名古屋高裁金沢支部が再審無罪判決を言い渡し、その後、検察官が上訴権を放棄したことにより無罪判決が確定しました。

前川さんが逮捕されてから、再審無罪判決を受けるまで実に38年が経過していました。

この事件は、1990年に地方裁判所で無罪判決がなされ、これに対して検察官が控訴したところ、高等裁判所で逆転有罪判決を受け、最高裁でもこれが維持されました。懲役7年の刑を受けて、2004年から再審の申立てを行い(第1次再審)、2011年に再審開始決定がなされるものの、2013年に開始決定が取り消されます。その後、2022年に改めて再審の申立てを行った(第2次再審)ところ、ようやくこの段に至り、裁判所の強い指導の元で検察官から新たに287点もの証拠が開示され、これが決め手となり、再審無罪判決に至りました。決め手となったのは、テレビ局への照会書です。有罪判決の根拠は、前川さんの中学校の先輩が「血だらけの服を着た前川を見た」と警察に申告したことです。その血だらけの服を見たというのが、ある音楽番組が放送された日ということで、警察からテレビ局に照会したわけでしたが、そのテレビ番組が放送された日は事件当日ではなく、事件から1週間後であったという捜査報告書が作成されていました。事件当日に血だらけの服を着ていたという目撃証言をもとに有罪になっているのに、その服装を見た日というのが事件から1週間後ということはありえません。この時点で、目撃者供述の信用性は非常に低いと言わざるを得ないものでした。ところが、審理中も第1次再審でも検察官からこの証拠は開示されず、第2次再審で開示された2023年まではその存在すら知られていませんでした。裁判所は「確定審検察官の訴訟活動は、公益を代表する検察官としてあるまじき、不誠実で罪深い不正の所為であるといわざるを得ず、適正手続確保の観点からして、到底容認することはできない」と断罪しています。また、これらの証拠が早期に開示されていれば、有罪判決を受けることもなかった可能性について指摘しています。

 

このような早期に救われないといけない人が救われないというのが、現在の再審法の不備によるためです。こうした不備を解消しようというのが今回の再審法改正の動きです。詳細な点について関心のある方は日弁連や弁護士会のホームページを確認していただきたいのですが、この秋の国会では超党派の議員連盟が提案した議員立法を巡って報道がなされるはずです。ご注目いただければ幸いです。