コラム
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生活保護基準引下げを違法とする画期的な最高裁判決
以前、私が弁護団として活動している生活保護基準引下げ取消訴訟について、和歌山地方裁判所が、基準引下げを違法とする判決を言い渡し、大阪高等裁判所で審理中であるとの内容のコラムを書きました。
生活保護基準引下げ取消訴訟(いのちのとりで裁判)は、全国29地域で、1000名以上の方が原告となり、全国で300名以上の弁護士によって争われてきました。このうち、大阪訴訟と愛知訴訟が最高裁で審理され、令和7年6月27日、最高裁は、保護基準引下げを「違法」とする判決を下しました。
判決は、デフレ調整につき、従来の保護費の決め方と異なり、物価変動率だけを指標に用いたことに適切な根拠があるか否かについて十分な説明がなされておらず、また、有識者会議による審議や検討も経ていないこと等を理由として、専門的知見との整合性を欠き、厚生労働大臣の判断の過程および手続に過誤、欠落があり、生活保護法違反と判断しました。
今回の最高裁の判断は、初の統一判断を示したものであり、全国各地で原告らが戦うなかでの画期的な判決です。また、最高裁で生活保護本体の引下げが違法とされた初めての判決であり、憲法裁判、社会保障の裁判の歴史に残る判決となるはずです。
なお、判決は、国家賠償請求を棄却しました。一方、宇賀裁判長は「反対意見」で、利用者が最低限度の生活を満たせない状態を9年以上にわたり強いられてきたとして、「精神的損害を慰謝する」必要性を指摘し、少なくとも1万円以上の請求を認めるべきだとしました。
和歌山訴訟は、現在も大阪高等裁判所で審理中であり、今回の最高裁判決を踏まえたうえで、控訴審での訴訟活動に取り組む所存です。
今回の判決を受けて、国がどのような被害救済を図っていくかが今後の課題です。訴訟を提起してから既に10年以上が経過しており、原告のうち、すでに200名以上が亡くなっています。一刻も早く、国による被害回復措置が実現されなければなりません。