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盗塁数の減少について

弁護士 浅野 喜彦

 毎年この季節になると、「プロ野球選手名鑑」や「Jリーグ選手名鑑」が発売されます。これらを読んでいると、どの選手も、どのチームも応援したくなりますが、実際に活躍できるのはごく一部の人たちなので、やはり厳しい世界だとあらためて感じます。

 さて、最近のプロ野球に関して、少し気になる数値があります。それは、両リーグの盗塁数です。昨年のプロ野球の盗塁数は、近年の減少傾向がさらに進んで、セ・リーグの盗塁王が19盗塁、パ・リーグの盗塁王が41盗塁でした。とくに前者は、数十年ぶりの低記録ということです。

 私は、子どものころ高橋慶彦選手(広島カープ、盗塁王3回)のファンだったので、今でも基本的に盗塁をする選手が好きです。盗塁は、成功すれば大歓声があがり、ムードが盛り上がるため、単に塁を一つ奪うこと以上のメリットがあると思います。それに、盗塁数が増えることで、ピッチャーが変化球を投げにくくなり、バッターが有利になるという利点もあるといいます。

 盗塁を刺されると試合の雰囲気が悪くなるという意見もあるようですが、一概にそうとも言えません。それはそれで捕手の見せ場でもありますし、試合が引き締まって面白いという面もあります。

 近年、盗塁数が減っている理由としては、投手のクイック技術や捕手の送球技術が向上したこと、4番ではなく2番に強打者を配置するチームが増えたことなどが挙げられています。しかし私には、もっと根本的な問題として、盗塁に対する球界全体の積極性が減退しているように思えてなりません。最近は野球のデータ分析が進み、盗塁の成功数だけでなく失敗数も含めてトータルに評価されるようなので、選手が盗塁死を恐れて萎縮するのでしょうか。

 個人的には、盗塁が失敗に終わってもあまり落胆はしないので、選手にはもっと積極的に走ってほしいと思います。とくに、二死一塁の場面などは、いつでも盗塁を仕掛けてよいのではないでしょうか。素人意見ではありますが、そのあと単打2本もしくは長打1本で得点に至る確率よりも、1盗塁+1単打を成功させる確率のほうが高いように思うからです。

 かつて5年連続で盗塁王を獲得した赤星憲広さん(阪神タイガース)は、最近のインタビューで、「全体的にクイックの精度、速さは向上しましたが、私の時代の浅尾拓也投手と谷繁元信さんのような盗塁阻止に優れたバッテリーは、今のプロ野球には見当たりません。それこそ、(中略)意欲さえあれば走れるということです。」と述べていました。彼の走力はちょっと抜きん出ていたので、これをそのまま他の選手にも当てはめてよいのか疑問ですが、全体的に盗塁意欲が低いという指摘は傾聴すべきでしょう。

 近年のプロ野球は、球速150キロ台のピッチャーが当たり前になったせいか、「投高打低」の傾向にあり、点が入りにくくなっていると言われます。緊迫した投手戦も見応えがあって面白いとは思いますが、昨年のように3割打者が両リーグ合わせて3人しかいないという状況は、さすがに少し寂しいのではないでしょうか。そこで、各チームの攻撃力を補うのに、盗塁は最も有効なツールだと思うのです。失敗を恐れずにどんどん盗塁を試みる選手や監督が出てくると、プロ野球はもっと面白くなると思います。