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和歌山マリーナシティへの「カジノNOの議決」に接して

弁護士 岡本 浩

 ここ数年、和歌山マリーナシティの一画にカジノを誘致することの是非につき、和歌山県内での議論が続いてきていました。この問題につき、本年4月、和歌山県議会が、国に対するIR設置の認可申請に「NOの議決」を行ったことで、一応の決着がつきました。

 私は、和歌山の景観を害するものとして、またカジノ自体に問題があるものとして、カジノ誘致に反対の見解でした。その立場より、このコラムコーナーに、昨年11月18日付にて「和歌山にカジノは要らない」・本年2月7日付にて「住民投票条例(案)の否決に思う」との2稿の寄稿を行いました。また、和歌山市議会に対し、カジノ誘致の是非を問う、住民投票実施のための条例制定を求める署名呼びかけ人の一人にも加えていただき、カジノが和歌山に来ることに微力ながら反対してきました。そのような経過だけに、今回の和歌山県議会による「NOの議決」の報に、快哉を叫びたい思いでいます。

 県議会の多数は、カジノ誘致に賛成だと見られていただけに、今回の議決は驚きでした。カジノ誘致自体に賛成な議員ですら、NOの議決に一票を入れたということは、提示案自体が充分な裏付けを伴わない不充分なものであったということかと思われます。その様な不充分な案のままで国への申請を行い、国から認可されない事態を招けば、より大きな損害を関係者に招いたであろうことが予想されるだけに、今回の議決は適切な結果であったと評されます。経過や各県議の思惑には種々のものがあったかと推察されますが、それはともかくとして、今回の和歌山県議会の議決に拍手を送りたいと思います。

 和歌山県には、高野山・熊野古道や那智の滝・太平洋に面した明るい海といった、他の都道府県以上の素晴らしい観光資源を有しています。このことは、私などにおいても、他府県の人々から「和歌山には観光資源に素晴らしいものがありますね」と言われることの多いことから明らかです。残念ながら、問題は、それを活かした和歌山県の活性化が充分に展開されていないことにあるのだと思います。

 今回の「カジノNOの議決」を機に、賭博場を設けることで県勢の浮揚を図るなどといったゆがんだ姿勢を改め、和歌山県の自然と景観と文化遺産を活かし、この地域の豊かで健全な発展が目指されるようになって欲しいものです。

和歌浦天満宮より和歌山マリーナシティを臨む